こんにちは、katsuです。
一般的に、月給と賞与は、以下のような違いがあると認識しています。
「月給」、生活保障的(基本的に安定性が重要な賃金)
「賞与」、業績や個人評価の反映(月給と比較すると変動させる余地が大きい賃金)
賞与は、変動余地が大きく、配分自由度が比較的高い賃金であるため、社員の短期的モチベーションに影響しやすい賃金です。
そんな「賞与」ですが、賞与支給額をどのように算定するかは、その企業の人事ポリシー(年功序列的・役割等級的・ジョブ型的など)によって変わってきます。
賞与を算定する代表的なパターンが1.算定基礎 2.評価 3.賞与原資コントロール機能(支給倍率等)の組み合わせです。
1.算定基礎は、賞与配分の根本的な優先度を表します。例えば、算定基礎が年功的ですと賞与も年功的になります。
代表的なバリエーションは2つあります。
1つ目は、「月給」と連動させる方法です。これにより月給額が賞与に反映されてきますので、月給が年功序列型なのか、役割等級型なのか等のポリシーが賞与にも影響してきます。また、ベースアップなどを実施すると、それも反映されるという特徴があります。
2つ目は、「資格等級や役職」と連動させる方法です。これにより、月給と賞与のポリシーを分離して設計することができます。
また、管理職は「資格等級や役職」と連動させ、非管理職は、月給連動方式を適用するなどの考え方もできます。
2.評価は、対象期間における短期的なパフォーマンスの違いを反映させます。高パフォーマーに優先して賞与を配分し、短期的パフォーマンスを高める動機づけをするためには、「評価」によるメリハリをつけるのが効果的です。
また、評価は、①組織評価 と ②個人評価 の観点で分けて考えるとよいと思います。
組織評価は、全社員共通の指標として事業戦略数値(KGI/KPI)などを評価して、賞与の配分基準とします。これにより、リーダーシップやチームワークの強化等、組織の全体最適に向けた取り組みを促進する効果が期待できます。ただ、まだ階層が低い社員に対し、過度に組織評価を適用すると、評価と責任の大きさのバランスが崩れるので注意が必要です。
個人評価は、個人業績や行動を評価して、賞与の配分基準とします。これにより、一人一人に自己のパフォーマンスの最大化に向けた取り組みを促進する効果が期待できます。一方、個人のパフォーマンスを重視しすぎると、チームワークがおろそかになる恐れがあります。
上記の特性を考えると、以下例のようにバランスを考えて適用することが大事です。
ライン長は、組織評価のみライン長以外の管理職は、主:組織評価 従:個人評価非管理職は、主:個人評価 従:組織評価 階層が低くなるほど個人評価の割合を高める。
3.賞与原資コントロール機能は、当初予定した賞与原資の枠内に収まるように、賞与原資をコントロールする機能のことです。
例えば、人事評価を「絶対評価」で実施している場合、単純に算定基礎と評価だけで計算すると、賞与原資は最終的に社員全員分の賞与額が確定するまで確定しません。
それを避け、事前に確保している賞与原資を適切に分配するためにこの機能が必要です。
代表的なコントロール手法に、「支給倍率制(支給月数制)」と「ポイント制」があります。
支給倍率制は、目標とする賞与原資から逆算して調整する方法です。
例えば、賞与算定式が以下のような場合
「算定基礎額(基本給+役職手当)×評価係数×支給倍率」
絶対評価により、人事評価が想定より上振れした時、計画の1.25倍の原資が必要になったとします。
その場合、支給倍率を調整することで、当初予定していた賞与原資を実現することができます。
ポイント制も賞与原資からポイント単価を逆算するという点で、基本的な考え方は支給倍率制と同様です。
上述したように、賞与算定式は、企業の賞与配分ポリシーを表します。
例えば、・成果主義をうたいながら、算定基礎が年功序列的な場合・ライン長だが、個人評価重視・賞与原資コントロール機能がなく、評価を恣意的に調整
などが発生している場合、改定するのが適正と思います。
参考:『人事・組織マネジメントの処方箋』(日本総合研究所)
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